講師紹介と講座内容

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講師名:榎村 寛之(えむら ひろゆき)
講座名:伊勢神宮・斎宮の歴史と古代国家の歴史む
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◆講師自己紹介
 伊勢神宮の歴史、というとすごくマニアックに思えますよね。神社の歴史なんて予備知識もないし、大して事件もないから面白そうでもないし、だいたい京都と三重県あんまり関係がないし……でも、ほんとうにそうでしょうか?伊勢神宮には、古代から中世前期にかけて、斎王が仕えていました。斎王は天皇が手ずから派遣する文字通りの代理、つまり伊勢神宮は今風に言えば、都からリモートコントロール(遠隔操作)する神社でもあったのです。
 だから斎王を介して見る伊勢神宮の歴史には、7世紀から14世紀にわたる日本の歴史が反映されています。そして伊勢神宮がなぜ重要だったのか、なぜ現在まで続いているのか、誰が伊勢神宮を支えていたのか、伊勢神宮とはどういう仕組みの神社なのか、伊勢神宮を知ることは、それを形成し、維持していた古代国家を知ることにもつながるのです。
 壬申の乱・律令国家・平安遷都・王朝物語・和歌文学・神仏習合、語れる素材は山とあります。政治史・文化史・宗教史・考古学・・・いろいろな資料を用いてわかりやすくご紹介していきましょう、ちょっと変わった古代学の世界を探訪してみませんか。

◆講座の内容紹介・受講される皆様へ
 1959年大阪市生。大阪市立大学(学部)、岡山大学(修士)、関西大学(博士)。博士(文学)。2020年3月の終わりまで(三重県立)斎宮歴史博物館で学芸普及課長を務めていました。斎宮とのかかわりは1987年に始まります。斎宮を研究するためには、歴史学(文献史学、特に古代史・中世史、伊勢神宮を研究するためには近世史も重要)のほか、考古学、国文学、民俗学、神話学、説話学、文化人類学、宗教学などが必要なので、広く浅く勉強しています。本人は王権論の研究者のつもり。
 著書に『律令天皇制祭祀の研究』(1996)、『伊勢斎王と斎宮』(2004)、『伊勢斎宮の歴史と文化』(2009)、『伊勢斎宮の祭祀と制度』(2010)『律令天皇制祭祀と古代王権』(2020)(いずれも塙書房)、『日本古代の都と神々』(2008 吉川弘文館)、『伊勢神宮と古代王権』(2012 ちくま選書)、『斎宮―伊勢斎王たちの生きた古代史』(2017 中公新書)、ほか共著、論文多数。
 趣味は、いろいろな舞台を見ること。落語文楽歌舞伎ミュージカルバレエ小劇場、中でも30年継続しているのが宝塚歌劇。



◆講座スケジュール
月1回 水曜日 13:00~14:30  ※8月は休講月です。

第1回 4月21日(水)
内容:伊勢(中南勢)地域の古代史とプレ斎王〜律令国家の形成まで
現在「伊勢市」と呼ばれている地域と「伊勢国」は違います。その「伊勢市」から松阪市にかけての地域の古代史、特に「伊勢市」外の明和町にある斎宮を語らずして伊勢神宮は論じられません。この地域の大化前代史と『日本書紀』に見られる伊勢神宮に仕える皇女の記事から、斎王制度発足までの歴史を考えます。

第2回 5月19日(水)
内容:「大」神宮の成立と斎王制度発足の意義〜奈良時代の伊勢神宮
大神宮と称せられる奈良時代の伊勢神宮。この特殊な神社の形成過程と斎王制度の成立は密接にかかわっています。律令天皇制の形成と展開の中で伊勢神宮と斎王が果たしていた役割について、その形成過程や天皇ごとの変化など、特に大来皇女と井上内親王の役割について重点を置いて考えていきます。

第3回 6月16日(水)
内容:桓武天皇と「見える化」される伊勢神宮、斎宮〜新体制の下で
元斎王の井上内親王廃后に始まる伊勢神宮の変動。桓武天皇の時代に始まる斎宮の大変革、東西1キロ、南北500メートルに及ぶ方格街区はなぜ造られたのか。同じ桓武朝に提出された伊勢神宮の活動レポート『皇大神宮儀式帳』『止由気宮儀式帳』はなぜ創られたのか。発掘調査と文献研究が明らかにした桓武「新王統」と伊勢神宮の再位置づけについて紹介します。

第4回 7月21日
内容: 斎宮、祭主、大神宮司〜伊勢神宮をめぐる「多様性」
9世紀の伊勢神宮の歴史は、神郡支配をめぐる神宮(大神宮司)と斎宮(斎宮寮)の対立と妥協の歴史でもありました。それは伊勢神宮をどのように運営し、管理するかと連動した問題で、これが『伊勢神宮』の斎王と在原業平についての物語とも連動してきます。嵯峨天皇から醍醐天皇に至る政治史の中で伊勢神宮と斎宮の歴史を考えます。

第5回 9月15日(水)
内容:中世に向かう伊勢神宮〜斎宮の転換と神仏習合、源平合戦
10世紀から11世紀にかけて伊勢神宮と斎宮は大きな転換期を迎えます。摂関政治と斎宮・伊勢神宮との関係、託宣を始める斎王、宮廷でも始まる天照大神祭祀、そして伊勢神宮と神仏習合の動き。中世に向けて衰退していく斎王と自立する伊勢神宮。伊勢をめぐる「古代」の終焉の時代に最後の輝きを見せる斎王たちを追いかけて講座の締めくくりとします。

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