角田文衞古代学奨励賞
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角田文衞古代学奨励賞 第8回受賞者
◇ 経  歴

氏  名家原 圭太(いえはら けいた)
生  年1981年(京都市生)京都市在住
学  歴2004年 天理大学文学部卒業
2006年 京都大学大学院 人間・環境学研究科修士課程修了
2007年 同 博士課程中途退学
現  在京都市文化市民局 文化芸術都市推進室 文化財保護課技師


◇ 受賞論文
「平安京の邸宅分布と園池」
(第68巻第3号、2016年12月)


◇ 受賞理由
  平安京の邸宅・園池に関しては、「寝殿造」論を中心に、文献古代史、建築史、庭園史、考古学など多方面から膨大な研究の蓄積がある。近年、平安京域では、右京三条一坊六町西三条第(藤原良相「百花亭」)跡など重要な発掘調査が多く、それらを踏まえた学際的研究も進展しつつある。本論文は、それらを受け、平安京の邸宅の構造、特に園池の配置の特色を、平安京の都市計画との関係に着目し、考察したものである。
 著者は、平安京の旧地形・旧流路、下層遺跡の分布をまとめた上で、発掘調査で検出された邸宅・園池の立地環境を検討する。そして、平安遷都当初の邸宅占地では、旧京の占地を継承し、平安宮周辺や坊城の地が主として選択された、と主張する。また、平安京の邸宅分布は国家的な人民支配を反映したもので、園池造営を前提に堀川扇状地等が邸宅造営地として選択されたのではない、と指摘する。
 さらに、著者は、園池の水は、湧水や泉からの導水、流路の伏流水などを利用し、条坊側溝などから導水される例がないこと、園池が敷地の中央から南半に、主屋域は1/4町程度の広さを占めることが多かったことなどを指摘する。その上で、寝殿造の構造的特色についても言及している。
 以上のように、本論文は、平安京域における発掘調査成果を、奈良時代以前のものも含めて集成・整理し、平安京の邸宅・園池の歴史的性格を解明したものといえる。
 筆者は、本論文以外にも、都城制に関して、条坊制、曹司、小規模宅地に関する論文、地方官衙に関して、方形街区に関する論文などを精力的に発表している。また、在職する京都市文化財保護課において、『京都市文化財ブックス第28集 平安京』(2014年)など貴重な業績を積み上げている。飛鳥時代から平安時代までを長期的に俯瞰した研究は少なく、著者の研究の価値は大きい。
 「角田文衞古代学奨励賞」は、考古学と文献学の双方を駆使して、「古代学」の理論な・研究を推進した角田博士の功績を顕彰し、後継者たり得る優秀な研究者への奨励を目的として創設されたものである。著者の研究分野は、角田博士、古代学協会の調査・研究の中核部分にあたる。本賞の受賞を契機に、著者が研究者として、先行研究の高い壁を乗り越え、大いなる飛躍を遂げることを、期待するものである。


◇ 主な著作・論文等
・「古代都城条坊制と地方官衙の方格街区」(『日本考古学』第41号、2016年)
・「四行八門制と小径」(『日本歴史』第835号、2017年)
・「古代都城における小規模宅地の居住施設と居住形態」(『古代学研究』216、2018年)

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